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平成27年 静岡県獣医師会 東部症例発表会 2015/11/30
テルミサルタンによる高齢犬睡眠障害に対する新しい治療:ウエアラブルデバイスによる評価

◯樋渡 敬介1)、土井 公明2)、水野 理介3)、横須賀 誠4)

1) 御殿場インター動物病院(御殿場市)、2) どいペットクリニック(藤枝市)、
3) つくば国際大学医療保健学部臨床検査学科、4) 日獣大獣医学部獣医学科病態解析学分野
Japan Veterinary Microcirculation Research Center (JVMRC)

【はじめに】高齢犬の睡眠障害は、犬だけの問題ではなく、世話をする飼主に肉体的精神的負担を強いる。さらに、動物虐待や放置などに発展するケースがあるため、社会的な問題となっている。それらの問題に対し、小動物臨床獣医師は、患畜への抑制剤投与の使用や介護を充実させるなど対症法が主である。また、睡眠障害治療は、夜間の観察が必要なため、治療や介護に対する効果を十分に評価することは、飼主でさえ困難な場合が多い。そのため、睡眠障害治療やその効果判定には個々の症例により試行錯誤が重ねられている。今回、我々は睡眠障害が認められた高齢犬に対して、脳微小循環改善を目的とした積極的な治療として、アンジオテンシンIIタイプ1受容体阻害薬(ARB)であるテルミサルタンを投与した。さらに、夜間睡眠時の活動を評価する目的で、近年普及している、3軸加速度センサーを搭載した小型ウエアラブルデバイスを高齢犬に装着し、夜間睡眠時の活動を記録し、夜間睡眠時の活動の評価を試みた。その結果、テルミサルタン投与によって、睡眠の改善が確認された症例を得たので報告する。

【結果】症例は、夜間に夜鳴きの症状を呈する雑種高齢犬(未去勢雄:16才、他に四肢麻痺と涎の症状が認められる)である。テルミサルタン(0.5mg/kgSID、経口投与)を就寝前19時から20時の間に処方した。ウエアラブルデバイスであるJawbone® UP MOVE™を首輪に装着し、投与前2日と投与後5日間の活動を連続して記録した。データの同期はBluethoothでスマートフォンに転送して確認した。睡眠障害である夜鳴き症状は、飼主からの報告によって、テルミサルタン投与後1日目より改善が認められ、投与後3日目では、ほぼ夜鳴きの消失が認められた。一方、ウエアラブルデバイスのデータからも、投与後1日目より、夜間の活動時間の大幅な低下に伴う睡眠時間の増加が認められ、その後も引き続き、安定して夜間の活動の低下傾向が認められた。

【考察】高齢犬の睡眠障害は、その管理が困難であることから積極的薬物治療の選択が少ない症状である。今回の症例からテルミサルタンは、脳微小循環改善による高齢犬睡眠障害の積極的治療の一つとして有効である事が判明した。また、今回の治療では、近年、脳機能や睡眠に関わる分野で注目されているglymphatic systemが大きく関わっている可能性が示唆された。近年、glymphatic systemは、脳脊髄微小循環の新しいシステムであることが明らかにされている。今回の症例犬において睡眠障害の他に認められた四肢麻痺や涎も、テルミサルタン14日後の飼主からの報告で顕著に改善していた。このことから、テルミサルタンによる脳微小循環改善が睡眠を安定させたことによって、睡眠時に主に作動するglymphatic systemが日常生活をも改善する好循環を作り出したと考えられた。また、今回導入したウエアラブルデバイスは小動物臨床で評価が困難な睡眠状態を極めて明確に可視化できることが確認できた。ウエアラブルデバイスは、安価、操作性および機動性を併せ持つ最先端管理システムであり、今後睡眠障害だけでなく、様々な疾患の管理および評価おいて強力なITである事が示唆された

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