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11月22日 動物臨床医学会 年次大会@大阪 ランチョンセミナー要旨<獣医師向け> 2015/11/21
獣医微小循環学的治療戦略:テルミサルタンは「やさしい」獣医療を可能にする

水野理介、樋渡敬介、土井公明、横須賀誠
Japan Veterinary Microcirculation Research Center (JVMRC)

 原生動物では外環境液が直接細胞に接している。動物が進化するにつれて、循環系ができ、心臓が認められるようになる。多くの無脊椎動物では循環系は開放血管系で、血液は細胞間隙を直接流れている。完全な閉鎖血管系は魚類に至って初めて起こり、末梢血管抵抗が増すため血圧も高くなる。全身の血圧調節は、抵抗血管である細動脈の収縮-拡張によって直接制御される。毛細血管床や細静脈は、物質交換や免疫担当細胞のホーミングの中心として機能する。毛細血管床とその輸入、輸出血管である細動脈、細静脈を一括して微小血管系と呼ぶ。この微小血管系と組織間隙とリンパ系を含めて微小循環とされる。血液循環の主目的が生体内部環境の維持、すなわち全身の各組織細胞に対する生活物質の供給と代謝産物の除去にあることを考えるならば、微小循環こそまさに循環系で最も本質的な役割を演じる部分であり、心臓や太い血管は微小循環に適切な血流を供給する為の補助装置である。全身の細胞の生活条件は微小循環によって直接規定される。微小循環の障害は当該組織の機能不全を引き起こし、障害の部位と広さによって生命の喪失につながる。この意味においては微小循環の世界は、その名称から想像されるような微小な存在ではなく、細胞の個々からその統合体としての個体の生命維持を直接左右する巨大なシステムである。
 生物は海の中で発生したとされ、進化の過程の中で一部の生物が陸上で生活できるように適応した際に、体内の水分と血圧を保持するためにナトリウムイオンの調節が必要不可欠となった。この塩分を体内にとどめておく作用を調節しているのがRAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン-システム)である。このシステムは塩分の少ない陸上での生存のために生物が獲得したありがたいものなのであるが、これが高血圧症という病気を引き起こす原因となっている。古来、内陸部では、塩は貴重品でありその摂取量は現代よりもはるかに少なかったとされる。しかし、食生活の変化に伴って、食塩摂取量が増えたことにより、この塩分を体内に保持しようとするシステムが逆に病気の引き金になっている。RAASの中心的PlayerであるアンジオテンシンIIは、様々なアンジオテンシン受容体に結合することによって生理的機能発現のみならず、多くの疾患の病態に関与することが明らかとなってきた。2014年、ネコCKDに対するAT1受容体拮抗薬であるテルミサルタンが発売され、ARBの獣医臨床への適応が始まった。当センターでは、テルミサルタンは末梢組織微小循環動態改善することによって高齢動物の様々な疾患に対して「やさしい」治療となることを見出した。
本セミナーでは、まず微小循環の生理学・病態生理学とこれに関わるRAASをオーバービューし、当センターで得られた様々な臨床例(犬猫の四肢不全麻痺、慢性鼻炎、〜など)からテルミサルタンの微小循環改善による治療効果ならびにARBが有する優れた治療効果の顕在化を紹介する。

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受容体拮抗薬 テルミサルタン サルコペニア フレイル
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