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平成27年度 日本獣医師学会学術大会 共同研究発表 2015/03/15
テルミサルタン(ARB)投与が著効を呈した不全麻痺の犬の二例

1)どいペットクリニック(静岡県)、2)御殿場インター動物病院(静岡県)、
3)東大大学院農学生命科学研究科獣医薬理学教室、
4)日獣大獣医学部獣医学科病態獣医学部門病態解析学分野、
Japan Veterinary Microcirculation Research Center (JVMRC)




【はじめに】 高齢動物でしばし遭遇する疾患の一つに、犬の四肢不全麻痺がある。これらの多くは、体躯の筋肉や神経反射の衰えとともに進行性に発症することが知られている。今回我々は、アンジオテンシンIIタイプ1受容体阻害薬(ARB)であるテルミサルタンが四肢微小循環を改善し、不全麻痺の治療に有効であるという新しい治療戦略をたてた。また、非接触型赤外線温度計による足先温度上昇を指標とした微小循環改善評価方法を新規導入した。今回は、テルミサルタンが犬不全麻痺症状を顕著に改善した2例を報告する。
【症例】 症例1、柴犬14歳1ヶ月齢、未避妊雌、体重8.8kg、散歩中つまずいて転倒するとの主訴で来院した。受診時、身体検査及び歩様検査で異常なし。循環改善を目的にテルミサルタン1mg/kgSIDを処方した。第1病日に症状が消失。第2病日に庭を走り回る。第8病日には散歩の距離が伸び、活発になりすぎて鳴くため8日間の投薬で休薬した。内服中は食欲が低下した。休薬後、足先温を非接触赤外線温度計で測定した。足先温が24℃以下に低下した時に再度症状が見られ、0.5mg/kgSIDを投与した。8時間後には足先温が30℃になり症状も消失した。翌日以降、足先温の低下と症状もないため単回投与のみで良好に維持している。症例2、シーズー、15歳9ヶ月、雄、体重5.2kg、4ヶ月前からの後肢不全麻痺が進行し、起立不能になったとの主訴で来院。座位で後肢を前方に伸展し、前肢で体を支える姿勢であった。また、食欲はあるが沈鬱であった。テルミサルタン1mg/kgSIDで処方したところ、第4病日に鳴くようになり、第10病日に歩行し、第30病日には2kmの散歩が可能となった。
【考察】 高齢動物は筋力低下、筋萎縮、協調運動障害、知的機能低下など人の高齢期の廃用症候群と似たような経過をたどる。今回、犬の不全麻痺の治療を通じて、1)非接触型赤外線温度計は、四肢微小循環の評価に有用である、2)不全麻痺は、四肢微小循環低下によっても生じる可能性の示唆、3)テルミサルタンは、高齢犬の不全麻痺の改善に有効である事を見出した。また、症例1で精神高揚による身体活動の活発化が観察された点や、症例2で期待した末梢循環改善のみならず劇的な全身状態が奏功したことから、テルミサルタンは、末梢組織のみならず中枢神経系の微小循環改善とそれに伴う中枢神経賦活効果を有することが示唆された。

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